• インサイト

醸造所でホース選択が重要な理由

FaBLINEが汚染リスクを低減し、保存期間を延ばし、高い稼働率を実現 

fabline drinktec

執筆: Aflex Hose事業開発マネージャー、Matthew Coultas氏

汚染、溶存酸素の混入、炭素抜け、計画外メンテナンスによるダウンタイムは、今日の醸造所が直面する大きな課題です。これらは製品ロスや賞味期限の短縮、さらには高額な運用コストを伴う業務停止につながるおそれがあります。しかし、こうした問題の多くは、醸造工程ごとに適切なホースを選択するという、見過ごされがちでありながら重要な判断によって防ぐことができます。適切なホース技術を導入することで、醸造所は安定した製品品質を維持するとともに、洗浄工程を最適化できます。

醸造所では、ホースは原材料の荷降ろしをはじめ、製造工程での各種移送、ろ過工程での製品搬送、包装、高速瓶詰め・缶詰めラインなど、さまざまな工程で使用されています。しかし、ホースアセンブリに求められる役割は、単に製品を移送することだけではありません。
 
過去20年間で、定置洗浄(CIP)および定置減菌(SIP)の工程は大きく変化し、これまで以上に頻繁に実施され、より強力な洗浄薬品を使用し、より高い温度で行われるようになりました。そのため、醸造所で使用されるホースには、耐薬品性と耐熱性によって繰り返される洗浄サイクルに耐えられることに加え、衛生性を維持し、ビールの品質を損なうことなく、長期にわたって信頼性の高い性能を発揮することが求められます。

醸造用途に最適なホースとは?

醸造用途に最適なホースに求められる特性は次のとおりです。

  • 非吸収性 – 製品や洗浄薬品を吸収せず、それらが後からビールに溶出することがない
  • 非溶出性 – ライナーや、ライナーに生じた目に見えない亀裂を通じて製品へ溶出するおそれのある接着剤を使用していない 
  • 無味・無臭 – ビール本来の風味と香りを保つ
  • バイオフィルムが形成されにくい
  • 内部を簡単に洗浄できる
  • 耐キンク性で扱いやすい
  • 頻繁なCIP/SIPサイクルにも耐える長寿命設計
  • 耐薬品性 – 強酸や強アルカリの影響を受けない 
  • 60~85℃の温水や洗剤溶液による洗浄の影響を受けない

CIP対応

醸造所では、ホースは製品の移送に加え、強力な洗浄薬品を使用する充填・洗浄サイクルの繰り返しにさらされます。接液面には、汚れを除去し細菌を死滅させるための長時間にわたるCIPが定期的に実施されます。こうした洗浄サイクルは、毎日、または製品の切り替えごとに1時間以上に及ぶことも多く、ホースに大きな負荷をかけます。ホースの寿命や総所有コストに最も大きな影響を与えるのは、多くの場合、この洗浄工程です。CIPサイクルの所要時間も、醸造所の生産性に大きな影響を与えます。

このような洗浄作業で使用する薬品は、主に汚れ(食品や飲料が接触する表面に付着した不要物)の種類によって決まります。こうした汚れは主に製品の残留物で構成されますが、給水に含まれるミネラル、不溶性の洗剤残留物、微生物が形成する粘着性のバイオフィルム、さらには粉塵や機械用潤滑剤などの環境由来の汚染物質が含まれる場合もあります。こうした汚れは細菌の栄養源となるため、確実に除去する必要があります。

醸造環境では、酵母や細菌が表面に見えないバイオフィルムを形成することがあり、これを除去するのは非常に困難です。そのため、リン酸、硝酸、塩酸などを用いた、強力な酸性洗浄剤や殺菌剤が必要になります。

汚れを除去した後は、残留する微生物を死滅させるための殺菌処理が必要です。飲料の種類や工程に応じて、蒸気、温水、または殺菌剤を用いた処理が行われます。

塩素は最も広く使用されている化学殺菌剤であり、液体塩素、次亜塩素酸ナトリウム、無機クロラミンなどの形で使用されます。これらは溶液中で次亜塩素酸(HOCl)を生成し、その効果はpH、濃度、温度、および接触時間によって左右されます。

その他にも、過酸化物、脂肪酸、第四級アンモニウム化合物、ヨウ素系殺菌剤などが使用されます。これらの要因により、ホースの材質は極めて過酷な使用環境にさらされます。

標準的なCIPの洗浄・滅菌薬品にさらされるホースの評価、およびCIP後のバイオフィルムの残存領域

ホースの種類 / 圧力定格   期待寿命   性能特性  
FaBLINE PTFEライナー付き / 1.6MPa   5年 長寿命、CIP/SIPプロセスに対する優れた耐性  
ニトリルゴム / 1.0MPa   9~12か月 低コスト、CIP条件下では急速に劣化  
EPDMゴム / 1.0MPa   12か月 ニトリルより優れた耐薬品性。ただし耐用年数は限定的  
シリコーンゴム / 0.6MPa   18か月 CIP後の脆化および溶出物の発生  
FEPライナー付きゴム / 3.0MPa   2年 接着剤の溶出やライナーの疲労が生じるリスク  

ニトリルゴム製ホースは購入コストが低いため広く使用されていますが、標準的なCIPの洗浄・滅菌薬品にさらされると劣化し始めます。EPDMゴム製ホースはニトリルゴム製よりも高価ですが、耐薬品性と耐熱性に優れています。それでも、耐用年数には限りがあります。

シリコーン製ホースは柔軟性と耐熱性に優れ、飲料充填用途で広く使用されています。しかし、シリコーンはCIP用薬品にさらされると脆化し、分解生成物を放出して製品品質を損なうおそれがあります。

FEPライナー付きゴム製ホースは耐薬品性に優れていますが、接着剤で接着されたライナーには、特に繰り返し屈曲する用途や急曲げ用途において、接着剤の溶出、ライナーの潰れ、疲労亀裂が発生するリスクがあります。

Watson-Marlow Fluid Technology Solutions(WMFTS)グループのAflex Hoseが提供するFaBLINE™ホースは、化学薬品、温度、洗浄時間にかかわらず、あらゆるCIPおよびSIPプロセスに優れた耐性を発揮します。FaBLINEの先進的な構造により、醸造所は次のようなメリットを得られます。

  • 洗浄効果を向上
  • CIPサイクル時間を短縮
  • 薬品や水・エネルギーの使用量を削減
  • 汚染、品質劣化、リコールのリスクを最小限に抑える

smoothbore cutaway

「FaBLINEの平滑な内面を持つPTFEライナーは、製品の滞留や移送後の残留物の堆積、微生物の繁殖箇所の形成を抑えることで、汚れの除去効率を向上させ、交差汚染のリスクを低減します」

Aflex Hose事業開発マネージャー、Matthew Coultas氏

FaBLINEの平滑な内面を持つPTFEライナーは、製品の滞留や移送後の残留物の堆積、微生物の繁殖箇所の形成を抑えることで、汚れの除去効率を向上させ、交差汚染のリスクを低減します。

高速瓶詰めの要件

充填・包装ラインの高速化が進むにつれ、計画外のダウンタイムによる損失はますます大きくなっています。そのため、総所有コストを評価する際には、ホースの初期費用だけでなく、次のような要素も考慮する必要があります。

  • ホースの購入・設置コスト
  • 生産に寄与しない追加のCIP時間
  • 製品ロスや規格外品の発生
  • 水・エネルギー・薬品の使用量
  • 生産性の低下
  • 汚染や製品リコールによる事業リスク

ホースの性能が影響を及ぼすのは、醸造所だけではありませn。ホースに不具合が発生すると、機械の故障と受け取られることが多く、充填機メーカーの評判にも直接影響を及ぼします。そのため、醸造所および充填機メーカーにとってホースの選択が重要となります。

FaBLINEのようなPTFEライナー付きホースは、飲料包装機に求められる性能において、PVC、ニトリル、EPDM、クロロプレン、IIR、シリコーン、HDPE製ホースを上回る性能を発揮します。

FaBLINEの構造は、缶充填機で繰り返される上下運動に最適です。AflexがローリングU試験機を用いて実施した試験では、FaBLINEは小さな曲げ半径と最高使用圧力の条件下でも、10万回を超える繰り返し屈曲に耐えられることが確認されています。これに対し、一部の競合ホースは、わずか1万3,400回未満のサイクルで破損しました。

理想的なホース特性に対する各種ホース構造の性能比較

求められる特性

蛇腹型(ワイヤー付き)

蛇腹型(ワイヤーなし)

リブ・ウェブ構造(内面平滑)

平滑ライナー(厚肉)

平滑ライナー(薄肉)

非溶出性

良好

良好

良好

良好

不良

内部の洗浄性

並〜不良

並〜不良

良好

良好

良好〜不良

高い流量性能

不良

不良

良好

良好

並

耐キンク性

良好

並

良好

不良

不良

柔軟性(小さな曲げ半径)

良好

並

良好

不良(ポリマー) / 良好(エラストマー)

並

柔軟性(少ない力で曲げられる)

良好

良好

良好

不良(ポリマー) / 良好(エラストマー)

並

高い屈曲耐久性

良好

良好

良好

不良

不良

用途への適合性

流量性能は限定的。深い蛇腹部ではCIPに課題がある

流量性能は限定的。キンクのリスクがあり、CIPにも課題がある

高速充填に最適

硬く、最小曲げ半径が大きい。キンクしやすく、耐用年数も限られる

柔軟性は高いが、ライナー剥離や接着剤の溶出リスクがある


溶存酸素混入のリスクを低減する信頼性の高いホース

ビールを缶、瓶、樽へ充填する包装工程では、溶存酸素の混入リスクを低減することが特に重要です。一部のホースは、溶存酸素(DO)濃度の上昇を招くことがあり、ビールの風味を損ない、保存期間を短縮する原因となります。

溶存酸素(DO)濃度が10ppb(10億分の1)増加するごとに、ビールの保存期間は約1か月短くなり、風味も損なわれます。

キューバに深い歴史的ルーツを持つマイアミ屈指の醸造所であるCervecería La Tropicaは、FaBLINEを導入して缶充填ラインの効率を向上させ、溶存酸素(DO)の問題を解決しました。

fabline latropic

La Tropicalは、PVCホースが原因で缶充填ラインに溶存酸素が混入する問題が発生していたことから、2023年に青色のEPDMカバーとTri-clover継手を備えたFaBLINE(0.5")へ切り替えました。

La Tropicalの缶充填ラインに導入された12本のFaBLINEホースにより、溶存酸素(DO)濃度は約50ppb低減され、ほぼゼロになりました。La Tropicalでは、炭酸化済みビールをブライトビールタンクから瞬間殺菌装置へ移送する用途でもFaBLINEホースを採用しています。これは、同じ用途でEPDMホースを使用した際に、泡立ちが原因で炭酸抜けが発生したためです。

米国では、ペンシルベニア州を拠点とするクラフトブルワリー兼サイダリーのWyndridge Farmが、欧州の卸売業者向けに受注した21,000ケースのクラフトビールの包装工程を前に、容認できないほど高い溶存酸素(DO)濃度を早急に改善するため、FaBLINEを採用しました。

Wyndridge Farmは、製造ラインに沿って溶存酸素(DO)を測定することで問題を診断し、缶充填機のシリコーンホースが溶存酸素混入の原因箇所であることを突き止めました。

わずか1日で、Wyndridgeは溶存酸素(DO)濃度を100~150ppbから50ppbを大きく下回るレベルまで低減し、欧州向け受注分を予定どおり出荷することができました。

保存期間を最大限に延ばすホース

aflex fabline

「FaBLINEの設計では、PTFEライナーが曲げ部の外側では伸び、内側では圧縮される構造になっています。これにより、ホース全体で円形の流路が変形することなく維持され、乱流を最小限に抑えたなめらかで安定した流れを実現し、移送中の微量の空気混入のリスクを低減します」

Aflex Hose事業開発マネージャー、Matthew Coultas氏

FaBLINEの設計では、PTFEライナーが曲げ部の外側では伸び、内側では圧縮される構造になっています。これにより、ホース全体で円形の流路が変形することなく維持され、乱流を最小限に抑えたなめらかで安定した流れを実現し、移送中の微量の空気混入のリスクを低減します。

PTFEライナーはホース壁を通した酸素の侵入を抑制するとともに、優れたCIP/SIP耐性により、酸素の侵入経路となる亀裂や透過層の形成を防ぎます。さらに、外装ブレードが酸素を引き込む原因となるホースの膨張・収縮を抑制するため、移送および充填工程で特に効果を発揮します。

FaBLINEの特長は、ビールを酸化から守り、風味と保存期間を維持するのに役立つことが実証されています。

高い稼働率を実現し、計画外のダウンタイムをゼロに

メキシコを拠点とする大手醸造会社は、メキシコ国内の醸造所でFaBLINEに切り替えることで、厳格なCIPプロセスにも悪影響を受けることなく、信頼性、衛生性、そして安定供給を向上させました。

世界的に有名なビールを醸造するこの醸造所では、操業開始以来、NBR(ニトリルブタジエンゴム)製ホースを使用してきました。しかし、時間の経過とともに、メーカーと現地販売代理店の双方から技術サポートや交換品を入手できなくなりました。ホースの性能、清浄性、耐久性は、ミチェラーダスタイルのビールに使用される高品質な原料であるトマトジュースの荷降ろしにおいて、重要な要件です。トマトジュースの荷降ろし後、FaBLINEホースは温水と苛性ソーダを使用したCIPプロセスで洗浄されます。

Watson-Marlowのエンジニアリングチームと醸造所のメンテナンス部門が共同で詳細な技術評価を実施した結果、食品グレードの継手を備えたAflex FaBLINE 3インチホースが採用されました。まず1本のホースが試験導入され、その1年後に追加のホースが導入されました。導入以来、醸造所では安定した運用が続いており、1本のホースは2年以上、さらに2本のホースは1年以上にわたり、一度も故障することなく使用されています。

FaBLINEは、平滑な内面と高い流量性能を備えたホースであり、優れた柔軟性と耐疲労性を実現します。FaBLINEは接着剤を使用しない構造のため、内容物への溶出がなく、ローリングU試験ではFEP平滑内面型ホースの10倍以上の耐屈曲寿命を実証しています。FaBLINEは小さな曲げ半径に対応し、わずかな力で曲げられるため、取り付けも用意です。

fabline hose

スイスを拠点とするクラフトブルワリーのDr. Gab’sは、FaBLINEへの切り替えにより、それまで使用していたゴムホースと比べて、稼働率、信頼性、プロセスの安全性が大幅に向上しました。従来使用していたゴムホースでは、不具合や破裂が発生し、そのたびに追加の洗浄作業が必要となるほか、製品ロスも生じていました。 

その結果、Dr. Gab’sでは、カーボネーターとの間でビールを移送する用途に、FaBLINEホースを積極的に活用しています。25本を超えるFaBLINEホースを導入して以来、Dr. Gab’sでは、最終カーボネーションをはじめとする要件の厳しい用途を中心に使用しています。炭酸ガスを添加した後、ビールは高圧下で瓶詰ラインへ移送されます。

稼働率、衛生性、長寿命を実現する設計

柔軟性と優れた耐キンク性を備えたFaBLINEホースは、高い信頼性、優れた衛生性、そして他のホースを上回る耐用寿命が評価され、世界中の醸造所でさまざまな用途に採用されています。

1〜3年ごとにホースを交換している醸造所にとって、今こそ、より費用対効果が高く、衛生性にも優れたソリューションへ切り替える時です。ダウンタイムや製品ロスに加え、洗浄効率まで含めた総コストで評価すると、FaBLINEは短期間で投資を回収でき、長期にわたる安心した運用を実現します。

FaBLINEホースが醸造所にもたらす主なメリット

  • 非吸着性PTFEライナーにより汚染リスクを低減
  • CIPにおける優れた耐薬品性により、サイクルタイムを短縮し、製品劣化のリスクを低減
  • SIPに対応する優れた耐熱性
  • 衛生的なPTFEライナー付き圧着継手(メンテナンス不要)
  • 溶存酸素の混入と炭酸抜けを防止
  • 優れた耐用寿命により、ダウンタイムと交換コストを削減
  • 優れた流量性能により、積込み・荷降ろし時間を短縮し、処理コストを低減
  • 優れた柔軟性と耐キンク性により、取り扱いが容易
  • 小さな曲げ半径に対応し、少ない力で曲げられる

 

FaBLINEホースアセンブリの詳細を見る